「市民と森林をつなぎたい」
組み立てワークショップが形にする
宮古市の想い

KUNIYUKI
HOROIWA

袰岩 邦行

宮古市 産業振興部 農林課

復興五輪の象徴を
レガシーとして残す

復興五輪の象徴を
レガシーとして残す

東京オリンピック・パラリンピック競技大会で選手団の交流拠点となった「選手村ビレッジプラザ」。公募によって全国63の自治体から借り受けた国産材を使用して一つの建物を作るという取り組みがなされましたが、宮古市もこのプロジェクトに参加しました。

宮古市は岩手県沿岸部の中心に位置する「本州最東端のまち」。世界三大漁場の一つである三陸沖の豊かな漁業資源に加えて、市域の約92%を森林が占める豊富な森林資源を有するまちとして、毎年多くの観光客が訪れています。

豊かな海と森に囲まれた当市も、2011年の東日本大震災では甚大な被害を受けました。世界中からいただいた支援に対して感謝の気持ちを伝えたい。10年という月日を経て力強く復興した姿や、宮古市の木材・製材品を国内外に発信したい。そんな想いから本プロジェクトに参画しました。

大会後に返却された木材の活用方法については、レガシーとして宮古市の将来を担う子どもたちの目に触れること、また森林資源が豊富な宮古市だからこそ、木材の有効活用を考えるきっかけを提供することを軸に検討していたところ、CARBON STOCK FURNITUREの存在を知りました。

組み立て
ワークショップが育む、
子どもたちの思い出

組み立て
ワークショップが育む、
子どもたちの思い出

当市では、地域材の活用促進の一環で、一定以上の地域材を使用した木造住宅に対して補助金を交付する「宮古市地域木材利用住宅推進事業費補助金制度」に取り組んでいます。一方、CARBON STOCK FURNITUREが目指すのは、都市が排出したCO2を木材に固定し、家具として使用することで森林資源の循環利用を高めるという新しい木材の活用方法。さらに東京ガスコミュニケーションズさんにご提案いただいたCARBON STOCK FURNITURE組み立てワークショップを通じて、地域の子どもたちに木と触れ、木を学ぶ機会を提供したいと考えて導入を決めました。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会が終了し、提供していた木材の返却が始まりました。そして、2023年3月に返却された木材を使ってベンチを作るワークショップを開催し、幼児から小学校高学年まで、18名の親子に参加していただきました。

ワークショップ自体は、床に敷かれた設計図をもとに、木材などを並べて組み立てるというものでしたが、木の豊かさに触れることで、暮らしと森の関わりについて意識するきっかけにつながったと思います。

ベンチを完成させるまでがワークショップのプログラムでしたが、市長からの提案で、急遽完成させたベンチに名前を書くことに。楽しそうに自分の名前を書く子どもたちの姿に、思わず嬉しくなりましたね。

この日に作ったベンチは現在も市の公共施設に設置されています。仮にワークショップに参加した記憶がなくても、このベンチがある限り、地域や木とのつながりは残り続けます。子どもたちにとってもいい思い出となったのではないでしょうか。

宮古市では16台のベンチを導入し、市民交流センター、宮古市地域創生センター(うみマチひろば)、道の駅、スポーツ施設、中学校などに設置しています。設置した場所には、CARBON STOCK FURNITUREを導入した目的や使い方を記載したパネルも併設しています。おかげさまで、日々たくさんの方に利用していただいています。

木に触れることで
「市民と森林をつなぐ」

木に触れることで
「市民と森林をつなぐ」

森が国土の3分の2を占める「森林大国」でありながら、近年は外国産の輸入材の増加に伴い、林業従事者も長期にわたって減少し続けてきました。

都市と森林の関係が薄れつつある中で、CARBON STOCK FURNITUREを通じて、「市民と森林をつなぐ」ことはとても大きな意味を持ちます。

木の伐採=環境破壊と捉えている方も多いものです。確かに過剰な伐採は問題ですが、樹木は木材として利用されることで、二酸化炭素を固定した環境に良い製品に変わります。CARBON STOCK FURNITUREはその象徴として、次世代を担う子どもたちに森林という資源の大切さを伝える存在となってほしいです。

今や日用品だけでなく、子どもたちが手にするおもちゃもプラスチック製で溢れており、生活の中で木に触れる機会は少なくなっています。我々大人の責任として、木の持つ特性や木の良さを子どもたちに伝えていく必要があるのではないでしょうか。

宮古市の森林整備は多くの課題を抱えており、伐採後の植林が進んでいない場所もあります。まずは多くの人に宮古市の森林を知ってもらい、使っていただくこと。広大な森林を有する宮古市として、森林と都市との新たな共生を目指しながら、地域材の利用促進と有効活用のあり方を検討していきたいです。

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豊かな生活を保つ森の役割

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これまでの導入事例写真

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