広大な森林がもたらす恩恵を 未来へつなぐために

ITSUMI
TAKURA

田倉 五己

相模原市 環境経済局 経済部 森林政策課

東京2020大会のレガシーを
体現するファニチャー

東京2020大会のレガシーを
体現するファニチャー

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で、日本全国の木材を使用して、選手村の建物を作る「⽇本の⽊材活⽤リレー ~みんなで作る選⼿村ビレッジプラザ〜」という取り組みがありました。この取り組みは「建物を作るために使用した木材を大会終了後に解体して市に返還し、公共施設などでレガシーとして活⽤する」というものでした。

相模原市は市域の約6割を森林が占める、緑豊かな都市です。森林は人々を洪水や土砂災害から守り、美味しい水と地球温暖化を防ぐ役割を担っています。
またこの森は、上質な国産杉の宝庫でもあります。相模原市の津久井産木材を、世界に周知できる良い機会だと思い、相模原市は選手村ビレッジプラザへの木材提供を決めました。

津久井産木材は、地域の人たちが大切に育ててきた木材です。
木が木材として利用できるようになるまでには、長い年月がかかります。時間をかけて育ててくれた木材を、東京2020大会という晴れ舞台へ届ける。そしてまた地元へ戻り、地域のみなさまに使ってもらうことで、地域の方への恩返しができたらという想いで、この取り組みはスタートしました。

しかし課題は「返還された木材をどのようにレガシーとして活用するか」でした。

そこへ東京ガスコミュニケーションズさんからCARBON STOCK FURNITUREのお話しをいただきました。
CARBON STOCK FURNITUREは、「地元の木を使って都市を木質化する」というコンセプトを掲げています。私たちもまた、「自分たちで森を育て、自分たちで使用し、自分たちで植える」という木材の地産地消をめざしています。」
お話しを聞くたびに、1つずつパズルがはまった感覚がありました。求めていたものがここにあった、と感じた瞬間でした。

東京2020大会は、様々な意味で歴史に残る、特別な大会でした。その特別な大会を支える一端として相模原市の津久井産木材が活躍できたこと、そしてそれをレガシーとして市で保存し、後世に伝えていくこと。我々が感じていた「地域の方へ恩返しできたら」という想いをCARBON STOCK FURNITUREというカタチで叶えることができました。

子ども達へ伝えたい
世界とつながった
森林をもつ誇り

子ども達へ伝えたい
世界とつながった
森林をもつ誇り

相模原市は令和2年に政令指定都市として、初の気候非常事態宣言となる「さがみはら気候非常事態宣言」を表明しました。これは気候変動が人々の生活に与える影響や、危機感を伝え、今出来ることを明らかにする役割があります。

その中でも大きな目標として、省エネルギーの推進と脱炭素社会の実現に向け「2050年の⼆酸化炭素排出量実質ゼロ」を掲げています。

CARBON STOCK FURNITUREは、固定した二酸化炭素量を製品に印字しています。CO2問題を身近に、視覚で感じられる素晴らしいデザインです。日々触れる家具というカタチで、脱炭素社会を促すことができ「さがみはら気候非常事態宣言」を具現化したプロダクトだと思いました。

今回相模原市では、CARBON STOCK FURNITUREのベンチを導入しました。ベンチが持つ日常感が脱炭素という大きな目標と、私たちをつなげてくれる気がします。CARBON STOCK FURNITUREのベンチは市内22の施設に配置されますが、その中でもこの藤野中学校に設置された意味は大きいと思います。

藤野中学校では図書館に設置することになりましたが、校内に、ベンチを設置している場所は無いのです。なぜなら大きな家具は、災害の際に避難する場合などに障害となってしまうからです。でも図書館なら十分なスペースが確保できます。じっくり落ち着いて物事を考えたり、生徒たちがリラックスする場として、ベンチの設置は新しいアイデアだと思いました。

森林には、大きな力があります。
水質環境を守る水源地としての力。
炭素を固定し、地球環境を守る砦としての力。

相模原市にとって森林は、とても身近にあるものです。特に若い世代の人々には、傍にあるからこそ、素晴らしさが見えにくくなっている部分もあるでしょう。
相模原市の森林の力は、森林だけでも人だけでも成しえません。双方が協力をしあうことで、発揮されるのです。

2020年東京大会では、全世界の選手やスタッフ、関係者に、津久井産材の木材を直接見てもらう機会がありました。「みんなで作る選⼿村ビレッジプラザ」は、相模原の森林が世界と繋がった場所でした。子ども達にも「世界は広い、でも見方を変えると、とても近い」そう感じてもらうきっかけとして、津久井産木材のベンチを使ってもらえたら嬉しいです。そしてこれからの未来を担う若い世代に、広大な森林を有する相模原市がもつ力を、今一度感じてもらうきっかけになれば嬉しいですね。

育てて使う
循環を叶える都市へ

育てて使う
循環を叶える都市へ

2020年東京大会のレガシーの活用」という取り組みは、ここで終わりになります。
しかしこれをきっかけにして、さらなる津久井産木材の利用を、促す取り組みは続けていきます。

相模原市の森林整備は、まだまだ課題が多くあります。今は森の成長を促すために、森林の一部を伐採したときに出る「間伐材」を整備する作業が中心です。
また国内全体で見ても、林業は高齢化と木材価格の低迷による、担い手の減少という問題があります。そして相模原市でも同じ課題を抱えています。市内の森林は担い手が育たず、自然のままになっている場所もあるのです。このままでは、山地災害や、大雨などの気候変動に耐えうる森が育ちません。相模原市でも「木材生産量の増加」と、産業としての「林業」を新興していくことを目指していきます。

そのためには、まず多くの人に相模原の森林の現状を知ってもらうこと。そして使ってもらうこと。
そこから植える、育てる…といった森の循環が叶えていけるのだと思います。

CARBON STOCK FURNITUREは、本庁舎の案内カウンターへの採用も決まっています。木材の存在を可視化出来るアイテムとして、大きな力を発揮してくれるでしょう。

このプロダクトは、相模原市が目指す「循環を促す」動機付けとしてパワーのあるものだと感じています。目指す方向へ進む、梯子をかけてくれた製品でした。

東京ガスコミュニケーションズさんには、これからもCARBON STOCK FURNITUREのような素晴らしいプロダクトを生み出し、共に森林整備・循環への支援をしてもらえることを期待しています。

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豊かな生活を保つ森の役割

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これまでの導入事例写真

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